○雇用保険法第18条第4項に規定する自動変更対象額を変更する件(平成31年厚生労働省告示第68号)
○雇用保険法第19条第1項第1号に規定する控除額を変更する件(平成31年厚生労働省告示第69号)
○雇用保険法第61条第1項第2号に規定する支給限度額を変更する件(平成31年厚生労働省告示第70号)
基本手当の日額の算定の基礎となる賃金日額の範囲や高年齢雇用継続給付の支給限度額などについては、年に一回、8月1日から一定の基準により自動的に変更されることになっています。
今回は、不適切な毎月勤労統計問題が生じたことに伴い、2019(平成31)年3月18日から、正しい数値に変更することとされました。〔2019(平成31)年3月18日適用〕
※ 厚生労働省からも、次のような案内がありました。
<平成31年3月18日からの基本手当日額等の適用について>
・雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ
・高年齢雇用継続給付・育児休業給付・介護休業給付の受給者の皆さまへ
雇用保険の自動変更対象額(基本手当の日額の算定の基礎となる賃金日額の範囲等)、いわゆる収入控除額、支給限度額については、雇用保険法の規定に基づき、毎月勤労統計における平均給与額の上昇又は低下の比率に応じて毎年自動変更されている。
この規定に基づき、平成30年8月1日から平成31年7月31日までの間に適用される自動変更対象額等が告示されていた。
しかし、不適切な毎月勤労統計問題が生じたことに伴い、その自動変更対象額等を、2019(平成31)年3月18日から、正しい額に変更することとされた。
1 賃金日額・基本手当の日額の最低額及び最高額
2 基本手当の日額の算定のための給付率を乗じる賃金日額の範囲となる額
3 基本手当の受給期間中に自己の労働によって収入を得た場合における基本手当の減額の算定に係る控除額
注.〔 〕は、平成31年3月17日までの額 …1,295円〔1,294円〕
4 高年齢雇用継続給付の支給限度額
注.〔 〕は、平成31年3月17日までの額 …360,169円〔359,890円〕
これらの告示は、2019(平成31)年3月18日から適用
〇厚生労働大臣が定める現物給与の価額の一部を改正する件(平成31年厚生労働省告示第63号)
健康保険、船員保険、厚生年金保険及び労働保険においては、報酬、賞与又は賃金(以下「報酬等」という。)のうち金銭又は通貨以外のもので支払われるものの価額は、厚生労働大臣が定めることとされており、その額を厚生労働大臣が告示しています。
この度、現物給与の価額をより現在の実態に即したものとするため、食事で支払われる報酬等に係る現物給与の価額の改正を行うこととされました。〔2019(平成31)年4月1日適用〕
※ 日本年金機構からは、次のようなお知らせがありました。そのリンクを紹介させていただきます。
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-kankei/hoshu/20150511.files/2019.pdf
報酬又は賞与の全部又は一部が、通貨以外のもので支払われる場合においては、その価額(以下「現物給与の価額」という。)は、健康保険法第46条第1項、船員保険法第22条、厚生年金保険法第25条及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律第2条第3項に基づき、その地方の時価によって定められることとされている(「厚生労働大臣が定める現物給与の価額」(平成24年厚生労働省告示第36号))。
この「厚生労働大臣が定める現物給与の価額」について、より現在の実態に即した現物給与の価額とするため、一部を改正し、告示することとされた。
今回改正されたのは、食事で支払われる報酬等の一部の現物給与の価額(次の表の部分)であり、その他の報酬等の現物給与の価額については、改正はない。
<食事で支払われる報酬等>
都道府県ごとに、食事提供の頻度に応じてそれぞれの欄に定める額とする。
〔参考①〕住宅で支払われる報酬等(これについては改正はない)
〔参考②〕食事で支払われる報酬等・住宅で支払われる報酬等以外の報酬等は、「時価」とする。
この告示は、2019(平成31)年4月1日から適用
○雇用保険法施行規則の一部を改正する省令(平成31年厚生労働省令第19号)
雇用保険法施行規則に定める「雇用保険被保険者資格取得届」、「雇用保険被保険者資格喪失届」などの一定の届出について、一定の大企業においては、電子申請により行うこととする改正が行われました。
また、教育訓練給付金の拡充に係る改正も行われました。
〔1.=2020(平成32)年4月1日、2.=2019(平成31)年10月1日(一部は同年4月1日)施行〕
※ 厚生労働省から、この改正省令について、労働政策審議会で用いられた資料が公表されています。ご確認ください。
1.特定法人に係る電子申請の義務化
雇用保険法第7条の規定による被保険者となったことの届出、被保険者でなくなったことの届出及び被保険者の転勤の届出並びに雇用保険法施行規則第101条の5第1項の提出及び第101条の13第1項の提出は、事業年度開始時における資本金の額が1億円を超える法人等にあっては、電子情報処理組織を使用して行うものとすることとされた。
ただし、電気通信回線の故障、災害その他の理由により電子情報処理組織を使用することが困難であると認められる場合で、かつ、電子情報処理組織を使用しないで届出等を行うことができると認められる場合は、電子情報処理組織を使用して行うことを要しないものとすることとされた。
〔解説〕雇用保険に関する一部の手続について、特定の法人が行う場合には、電子申請によることを義務づけることとするもの。
① 義務化する対象手続
雇用保険被保険者資格取得届出(雇用保険法施行規則第6条)
雇用保険被保険者資格喪失届出(雇用保険法施行規則第7条)
雇用保険被保険者転勤届出(雇用保険法施行規則第13条)
高年齢者雇用継続給付基本給付金の支給申請手続(雇用保険法施行規則第101条の5)
育児休業給付金の支給申請手続(雇用保険法施行規則第101条の13)
② 特定の法人
資本金、出資金又は銀行等保有株式取得機構に納付する拠出金の額が1億円を超える法人
相互会社
投資法人
特定目的会社
※社労士及び社労士法人が特定法人に代わって手続を行う場合を含む。
※やむを得ない理由がある場合は次回以降の電子申請を促しつつ、紙での申請を受け付ける。
2.一般教育訓練給付の拡充について
雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練のうち速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する教育訓練として厚生労働大臣が指定する教育訓練(以下「特定一般教育訓練」という。)を受け、修了した者については、教育訓練給付金の給付率を100分の40、その額の上限を20万円とすることとされた。
3.専門実践教育訓練給付の見直しについて
専門実践教育訓練のうち法令の規定により4年の修業年限が規定されている教育訓練(以下「長期専門実践教育訓練」という。)を受講している者であって、次のいずれにも該当するものについては、教育訓練給付金の額の上限を160万円(当該教育訓練を修了し、当該教育訓練に係る資格の取得等をし、かつ、一般被保険者等として雇用された者又は雇用されている者については、224万円)とすることとされた。
① 当該長期専門実践教育訓練の基準日から起算して3年が経過していること。
② 当該長期専門実践教育訓練の基準日が支給限度期間の初日であること。
③ 当該長期専門実践教育訓練の基準日から起算して30箇月を経過する日の属する支給単位期間における賃金の日額が、基本手当の日額の算定に当たって100分の50(雇用保険法第16条第2項の規定により読み替えて適用する場合にあっては、100分の45)を乗ずることとされている賃金日額の額のうち最も低額なもの未満であること。
〔解説〕10年間の支給上限額(初回の専門実践教育訓練の受講日から10年間に受けることができる給付の上限額)を、次のように見直すもの
法令上最短4年の専門実践教育訓練(専門職大学等、管理栄養士の養成課程)を受講する者について、10年間の支給上限額168万円(56万円×3)に4年目受講相当分として上限56万円を上乗せする。
ただし、在職者であって、かつ、比較的高い賃金を受ける者(例えば、基本手当日額の算出の際、50%の給付割合が適用される程度の賃金を受ける者など)は、この限りではないものとする。
また、専門実践教育訓練の複数回受講の場合については、通常の3年以下の専門実践教育訓練を複数回受講する者とのバランスを考慮し、上記上乗せは行わないこととする。
4.教育訓練給付金の手続きなどの改正
① 特定一般教育訓練に係る教育訓練給付金の支給を受けようとする者は、当該特定一般教育訓練を開始する日の1箇月前までに、教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票(以下「資格確認票」という。)に、キャリアコンサルティングを踏まえて記載した職務経歴等記録書、過去に受けた特定一般教育訓練又は専門実践教育訓練によるキャリア形成等の効果等を把握することができる書類等を添えて管轄公共職業安定所の長に提出しなければならないこととされた。
② 特定一般教育訓練に係る教育訓練給付金の支給を受けようとするときは、当該教育訓練給付金の支給に係る特定一般教育訓練を修了した日の翌日から起算して1箇月以内に、教育訓練給付金支給申請書に当該特定一般教育訓練によるキャリア形成等の効果等を把握することができる書類等を添えて管轄公共職業安定所の長に提出しなければならないこと等とされた。
③ 専門実践教育訓練に係る教育訓練給付金の支給を受けようとする者は、当該専門実践教育訓練を開始する日の1箇月前までに、資格確認票に、キャリアコンサルティングを踏まえて記載した職務経歴等記録書、過去に受けた特定一般教育訓練又は専門実践教育訓練によるキャリア形成等の効果等を把握することができる書類等を添えて管轄公共職業安定所の長に提出しなければならないこととされた。
④ 専門実践教育訓練に係る教育訓練給付金の支給を受けようとするときは、支給申請期間内に、教育訓練給付金支給申請書に当該専門実践教育訓練によるキャリア形成等の効果等を把握することができる書類(雇用保険法施行規則第101条の2の7第2号に掲げる者に該当する教育訓練給付対象者については、当該専門実践教育訓練に係る最後の支給単位期間について教育訓練給付金の支給を受けようとする場合に限る。)等を添えて管轄公共職業安定所の長に提出しなければならないこととされた。
5.その他
これらの改正にあわせて、様式の変更なども行われた。
この省令は、2019(平成31)年10月1日から施行される。
ただし、1については2020(平成32)年4月1日、3については2019(平成31)年4月1日から施行される。
○労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則及び厚生労働省関係石綿による健康被害の救済に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成31年厚生労働省令第20号)
労働保険の適用事務に係る事業主の事務負担の軽減及び利便性の向上のため、労働保険徴収法施行規則及び石綿法施行規則について、労働保険概算申告書、増加概算申告書及び確定保険料申告書並びに一般拠出金申告書の届出を、一定の大企業においては、電子申請により行うこととする改正が行われました。〔2020(平成32)年4月1日施行〕。
労働保険の保険料の徴収等に関する法律における労働保険概算申告書、増加概算申告書及び確定保険料申告書並びに厚生労働省関係石綿による健康被害の救済に関する法律における一般拠出金申告書について、次に掲げる法人(特定の法人)である事業主は、電子情報処理組織を使用して提出を行うものとされた。
① 事業年度開始の時における資本金の額、出資金の額又は銀行等保有株式取得機構がその会員から銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律第41条第1項及び第3項の規定により納付された同条第1項の当初拠出金の額及び同条第3項の売却時拠出金の額の合計額が1億円を超える法人
② 保険業法第2条第5項に規定する相互会社
③ 投資信託及び投資法人に関する法律第2条第12項に規定する投資法人
④ 資産の流動化に関する法律第2条第3項に規定する特定目的会社
これらの政令は、2020(平成32)年4月1日から施行
平成31年度の雇用保険率が決定されました。前年度の率に据置きとなっています。
〔2019(平成31)年4月1日適用〕
※ 実務上重要な改正です。ご存じでなかった場合は、必ず確認しておきましょう。
https://www.mhlw.go.jp/content/000484772.pdf
○労働保険の保険料の徴収等に関する法律の規定に基づき雇用保険率を変更する件(平成31年厚生労働省告示第53号)
注① 就職支援法事業の分を含む。
注② 就職支援法事業の分は除く。
注③ 季節的に休業し、又は事業の規模が縮小することのない事業として厚生労働大臣が指定する事業(牛馬の育成、酪農、養鶏又は養豚の事業、園芸サービスの事業、内水面養殖の事業、船員が雇用される事業)には、一般の事業の雇用保険率が適用される。